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石のしるべ~里程標2~

 金毘羅往来の上中野の「壱里」里程標(建年不明)の議論の続きです。
  金毘羅街道あるいは金毘羅道で四国へつながる国道の地位を争ったと思われる道程は、前稿で述べた「往来」の他に、倉敷(村)を経由する「道」があります。 この道沿いの里程標は、鴨方往来経由で三里、四里、五里、飛んで七里がほぼ間違いない位置/形で確認できています[いずれも明治15年建立]。
  その意味で、前稿で述べた上中野の「壱里」はこれらにつながるとは思われません。 ここでは、はるか南の瑜伽(由加)山の麓の根引地区にある、謎の・『六里(明治16年6月)』との関連を探ります。
  それには3つの理由がありますが、混乱を避けるためにひとつは棚上げにして、2つを示します;-
  先ず、橋本町と根引の間を地図上直線で測ると20km弱つまり五里ありますから、迂回余地は一里・4kmしかありません。
  次に、最近得られた上中野の「壱里」の影像から判断される形状/字体は根引の「六里」に類似していることが判りました。

     DSC09195Nebiki_320.jpg

 「元」の字体がやや異なるが、左面に刻字が無いのは、同様。  他に左右面に刻字が無い例は松山往来の加茂・「三里」。

           岡山から壱里
   

  詳しく論じます;-
  既に述べた、鴨方往来から倉敷村に回る径路は串田で既に七里を数えています。 串田から根引までの直線距離は5キロ半ほど有るので、是とつなぐと八里でも届きません。 早島・茶屋町経由の「金毘羅往来」と名付けられる径路でも、やがて串田に合流しますが、その地点で、倉敷村経由に較べて二里以上の短縮は難しいでしょう。 岡山から、かなり直結的に南進しなければ到達できません。
  明治初期~中期の道路策定の記事を調べると、『明治国道31号(M19布達)』は、早島経由の「金毘羅往来」が選ばれたと理解されます。 しかし、下って「大正国道22号(T9施行)」宇高経由で、同じ年に布告された岡山県道・下津井港線はこの国道を経由しながら、灘崎村から分かれて郷内村、味野町を経て港に達すると指定されています。 これは、明治国道31号(下津井経由四国街道)が廃された補完であると思われます。 この場合の大正国道22号は現在の県道21号とほぼ一致して、早島に至る前に妹尾で南下すると理解しておきます。
  明治16年の段階で、このルートを先取りするのは批判が有るかもしれませんが、地図上で、橋本町から、現・県道21号に沿って郷内交差点辺りまでを計測すると、19km強で、ほご五里になります。
  郷内交差点から根引付近までは、現・県道62号(その旧道=田ノ浦港を目指す)経由で4.5km程度あり、「橋本町から六里」は、数百m長いものの、誤差の範囲で到達できます。
  
  これが、明治16年・根引の「六里」と上中野「壱里」が結ばれるとする仮説の一応の結論です。
「由加往来」の北コースの標準は、早島経由の標準・「金毘羅往来」から林で分かれるとされているのに対し、妹尾から南下するコースも「プレ・県道」として公式化されていた可能性を示唆するものです。
  ここで、一つだけ留保しておくことがあります。 これまで一里の里程標位置を「上中野」と呼んできましたが、別の伝承を基に上中野二丁目の正福寺の直ぐ南を想定しています。 山陽新聞の記事の雰囲気からは、ここから西市に向かって200~300m南に位置することを否定できません。 2500分の1の「市域図」で計測すると、橋本町から正福寺南は、3700~800mの値が得られるのです。
  長話になりました。

 註> 今議論している時代の(明治16年前後)の地図を読むことが大切です。 精度が良いものでは、(県南の場合)明治30年ごろの「陸地測量部地形図」で、行政の意志を表現しているものとしては、「新撰岡山県全図(M22)」(岡山市立中央図書館蔵)が適切です。 「県全図」の表記はここの議論を支持することはあっても否定するものではないようです。 大福から興除(M22には東興除村)へは妹尾の街をかすめて行った可能性もあります。
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